「ピロリ菌」は、正式には「ヘリコバクター・ピロリ」といい、胃の中に住みつく細菌です。日本では、ピロリ菌に感染している人は5000万〜6000万人と推計されています。ピロリ菌は、健康な大人にはあまり感染せず、主に抵抗力の弱い子どもに感染し、そのままずっと胃に住みつきます。高齢の人に感染者が多いのは、戦中・戦後の衛生状態のよくない時期に育ち、そのころに感染したためと考えられます。
☆ 豆知識 ☆
“ヘリコ”はらせん形、“バクター”はバクテリア(細菌)、“ピロリ”は胃の出口であるピロルス(幽門)を意味し、まとめると「胃の出口近くに住みついているらせん形の細菌」となります。
◇ 正常な胃 ◇
粘膜からは、胃液と粘液が分泌
される。胃液は粘膜を溶かすほど
酸性度が強いため、粘膜はアルカリ
性の粘液で守られている。
◇ ピロリ菌感染 ◇
ピロリ菌は、粘液に住みつき、自分でアルカリ性のアンモニアをつくり出して、胃酸から身を守っている。米1粒程度の面積に約100万ものピロリ菌が存在することもある。
◇ 慢性胃炎 ◇
ピロリ菌に感染すると、ピロリ菌が出すアンモニアや毒素などによって、胃の粘膜に慢性的な炎症が必ず生じる。自覚症状はほとんどないことが多い。
◇ 萎縮性胃炎 ◇
慢性的な炎症によって、粘膜が
硬く薄くなり、抵抗力が弱くなる。
◇ 胃潰瘍 ◇
ストレスなどが加わると、胃の
粘膜の血流が減り、抵抗力がさらに
弱まる。すると、粘膜は胃酸の影響を
強く受けて溶かされてしまう。胃潰瘍は
再発を繰り返す。
◎ 検査方法 ◎
・内視鏡検査
・尿素呼気テスト など・・・
「尿素」を含む無味無臭の液体を飲み、20分ほどしてから、検査用の袋に息を吐きます。排他息の中に、ピロリ菌が尿素を分解してできたある特定の二酸化炭素があるかどうかを調べます。結果は約1日で出ます。
検査で胃に異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれなど胃の不快感が続く状態を総称して「機能性胃腸症」と呼びます。
主な症状には、食べ物が胃に入ってきても胃が十分に広がらない「弛緩障害」や、食べ物がスムーズに十二指腸に送り出されない「排泄障害」 があります。弛緩障害や肺性障害が続くと、食べ物がいつまでも胃の中にとどまることになり、「ムカムカする」など、胃もたれの症状が起こりやすくなります。
胃にやさしいお勧めの食材
◇ 卵(半熟にするとなおよい)
◇ 大豆加工製品(豆腐、きな粉、みそなど・・・)
◇ 野菜類(かぼちゃ、にんじんなど、煮込むと柔ら
かくなるものがよい)
◇ 牛乳(食間に飲むものもよい)
◇ 肉類(脂肪の少ない、鳥のささ身、牛・豚のもも
肉、ヒレ肉など・・・)
とり過ぎないように注意したい食材
◆ 脂肪が多い:脂肪の多い肉や魚、ソーセージ、ベーコン
◆ 塩辛い、甘みが強い:塩辛やようかんなど
◆ 刺激の強い香辛料